草千里

鮪の血合いを半額の198円で買った。自宅に帰ってパックの重さを量ると520gもある。こんなに美味しいものがタダ同然の値段なのはおかしい。たとえ5倍の値段でも俺は買う。ぶつ切りにして1時間ほど水にさらし、醤油・酒・砂糖・千切りショウガで煮つけにした。すぐに食べるよりも、冷蔵庫で一晩置いたほうが美味しい。煮こごり、というのだろうか。

今週から息子は保育園へ、妻は職場へ復帰する。娘は来週から小学校が始まる。自宅にこもる生活に慣れてしまい、これが何ヶ月続いても大丈夫と思えていたはずが、制限の緩和が見えてきたとたんに息苦しくなり、どこか遠くへ出かけたくなった。出かけたところで自由を感じるわけでもない。行動範囲が狭まることが不自由で、行動範囲が広がることが自由、と単純なものでもなく、人はただそのときの気分だけで、自由や不自由を感じている。「人は」といえば主語が大きいなら、少なくとも自分はそうだ。

河川敷の原っぱに座り、1歳児と同じ目線で景色を眺めていると、原っぱと空は途方もなく広かった。堤防の向こう側の住宅街が見えなければ、ここが江戸川の河川敷なのか、阿蘇山の草千里にいるのか判別もつかない。しばらくはこの目線のままでいたい。

f:id:fellfield:20200419160138j:plain