電動お散歩カー、車道を通るか、歩道を通るか

保育園の小さな子どもたちを乗せる、「6人乗り電動アシストベビーカー」のニュースが話題となっていた。いわゆる「お散歩カー」というやつだ。

経産省の発表によれば、電動のお散歩カーは、道交法に定める「小児用の車」ではなく「軽車両」に該当する、だから警音器をつけて車道を通らなければいけない、という。 response.jp

まだ歩き始めて間もない、1~2歳の子どもたちを安全に遊ばせるためのお散歩カーが、なぜ危険な車道を通らなければいけないのかと疑問が湧いた。調べていくと、経産省もそれなりに合理的な判断を下してはいるのだが、ニュースリリースが言葉足らずなために、誤解を招いているようにも思われた。

幅70cm以内なら歩道を通っても良い

2015年に出された経産省ニュースリリースによれば、そもそも「幅70cm」に収まる大きさならば「小児用の車」に該当し、「これを通行させている者は歩行者とみなされる」という。つまり堂々と歩道を通ることができる。

http://www.meti.go.jp/press/2014/01/20150128001/20150128001.html

この「幅70cm」は、道交法で定める「幅75cmの路側帯」と関わりがあるように思う。自動車教習所でも習うように、路側帯に駐車する際には、必ず75cmの余地を残さなければならない。その駐車車両の横を無理なく通り抜けるには、きっと幅70cmを上限とすべきなのだろう。

お散歩カーの幅は80cm前後が多い

いくら乳幼児が小さいとはいえ、2人の子どもが横並びになるには、幅70cmでは少々キツい。だから余裕を持たせるためか、市販のお散歩カーには幅80cm前後の商品が多いようだ(ネットで3~4個見ただけなので不正確なら教えてください)。電動/手動にかかわらず、経産省の基準に収まるものは多くなさそうだが、これらすべてに車道を通れというのは無理がある。

たとえば高齢者が乗っている大型の電動車いす(いわゆる「セニアカー」)は、たしか時速6km以上は出さないことを条件として、歩道走行を可能としていたはずだ。子どもたちのお散歩カーについても、条件を設けたうえで歩道通行可にできないものだろうか?

歩道通行の例外といえば自転車

そこで改めて本日の経産省ニュースリリースを読み直した。

当該電動アシスト付ベビーカーを使用する際には、道路交通法上、車道若しくは路側帯(軽車両の通行を禁止することを表示する道路標示によって区画されたものを除く。)の通行が求められ……

電動アシスト付ベビーカーに関する道路交通法及び道路運送車両法の取扱いが明確になりました~産業競争力強化法の「グレーゾーン解消制度」の活用~(METI/経済産業省)

注目すべきは『路側帯(軽車両の通行を禁止することを表示する道路標示によって区画されたものを除く。)』の文言だ。これはもしかして「自転車歩道通行可」の歩道なら通っても良い、と解釈できないだろうか?

自転車歩行者道 - Wikipedia

道交法では軽車両に分類されている自転車は、原則として車道走行が義務付けられている。もちろん警音器の装着も必須だ。ただし例外として、「自転車歩道通行可」と標示された区間においては、十分に速度をおとして、歩行者の安全に配慮しながらであれば、歩道を通行することが許可されている。

電動お散歩カー、歩道を通れる

今回の「電動アシストベビーカー」のニュースリリースは、分かりづらいけれど、おそらく歩道通行を禁じてはいない。法律の分類上は「軽車両」となるが、軽車両だから直ちに歩道通行が禁じられる訳ではないのだ。

自転車やセニアカーと同様に、電動お散歩カーは安全に気をつけたうえで歩道を通ることができる。面白いなと思うのは、経産省ニュースリリースが盛んに「グレーゾーン解消制度」「明確になりました」と書いておきながら、気になる部分がグレーゾーンのままで明確ではないことだ。経産省の取り組みは評価したいけれど、もう一歩という感じがする。