車とカヌー

いつかお金に余裕ができたときは、車とカヌーを買おうと考えている。もしも買えなくても不満ではない。無ければ無いなりに人生は進んでいく。自由にどこへでも旅行できた独身のときより、不自由だけど賑やかで騒がしい今の生活を気に入っている。

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ヒッチハイクで旅行していた時期、計50~60台に乗せてもらい、その大半が仕事に向かう人々だった。埼玉から岩手へ、東京から大阪へ、茨城から山口へ移動する人々と会話しながら、俺もこうやって長距離を移動しながら働きたいものだと思った。場所に囚われないことが自由で魅力的に思えた。

時は流れて現在、だいたい亀戸・神田・神保町あたりを日替わりに仕事場としている。目論見はやや外れて、どこにいてもパソコン仕事だから大きな変化は感じられない。いつか日本中や世界中を旅しながらリモートワークすることがあっても、パソコンに向かっていては、心が亀戸から離れない気がする。

「移動すること」には昔も今も変わらず興味がある。なぜ人は移動するのかと日々考えている。そして一つどころから移動できないことは不自由ではなく、たとえば今の自分にとって必要なのは、働く時間を減らして亀戸のコメダ珈琲で本を読み、心だけカヌーに乗せて旅立つような自由だ。車の本とカヌーの本を読む時間を作らなければ。